こんにちは!marbleです。
今日は、大人のピアノ教室でのレッスンについて考えたいと思います。
みなさんにお聞きします。
「大人のピアノレッスンをするととき、どこをゴールにしていますか?」
今回の記事は、私の失敗談というか、気づけなかったことを書いてみようと思います。
大人の生徒さんのピアノを弾きたいと思う動機というのはさまざまあるんですよね。
私の経験則でしか語れませんが、これまで出会った大人の生徒さんのレッスンの中で教えていただいたことを書いていきたいと思います。
大人の生徒さんが「ピアノを弾きたい」と思い、そして「習いたい」というアクションを起こしてくださる動機は様々です。例えば…
- 「昔習っていて、大人になってからまた弾きたくなったから」
- 「子供が自立して、ようやく私が習えるようになりました」
- 「昔子供に習わせていたけれど、この歳になってピアノのおけいこを自分が受けてみたいと思った」
- 「あこがれの曲があって、この一曲だけ弾いてみたい」
- 「健康と指先の運動でボケ防止にピアノを弾きたい」
- 「手品が上手になりたくてピアノを弾いたらもっと手先が器用になるかなと思って」
↑それは保証できませんと言ったらいらっしゃいませんでした(笑
これまでうちにいらっしゃった生徒さんの動機です。
印象に残ったのは、東日本大震災から3ヶ月後くらいでしょうか。
「こんなに地震で大きな被害を受けて、とても気持ちが落ち込んでたまらない。こんな時こそピアノを弾いて少しでも心を元気にしたい」
という生徒さんがいらっしゃいました。
この生徒さんの入会は、私も震災で落ち込んでいて、こんな世の中になってしまって今後、ピアノを習いたい、なんていう人はいるんだろうか、もうピアノ教室はあきらめなきゃいけないかもしれない、と自宅避難しながら仕事もできず後ろ向きになっていた私を、後押ししてくれました。
このように、大人の生徒さんの動機が多岐にわたっています。当然、大人の生徒さんといっても、年代も幅がありますし、初心者の方、経験者でもレッスンの内容も変わってきます。弾きたいジャンルや、どういうレッスンをお好みかも違うわけです。
例えば、ご年配になってから初めて習い始めた生徒さんなどは特に、お子さんに教えるほど進度は早くありませんよね。
すると、
どのあたりのレベルまでレベルアップするか
今弾いている曲がどの程度の仕上がりで合格にするか
そういうことに悩んだりしませんか? お子さんのレッスンと違い、趣味で習う人が多いですよね。ですが、やはり楽器を演奏するお稽古をするのですから、続けていけば上達もしますし、レベルアップのための努力ももちろん必要です。
生徒さんとのお話の中で、先生は生徒さんが望んでいること、そしてどのへんをゴールにしていったらいいかを考える必要があります。
大人の生徒さんの中にはご高齢の方もいると思いますし、そういう時はピアノの椅子に座り続けるということもきついこともあると思います。
肩や腰に持病があったりする方もいらっしゃいますよね。肩腰痛は、ダイレクトに指の動きに影響したりします。生徒さんが辛そうな時は、ピアノを弾くのは少しにして、私は一緒に歌をうたったりします。
私がよく使うテキストはこれです。
「懐かしい歌・心やすらぐ歌 シニアのための抒情歌集」(音友)
母親に見せて、どれをよく歌った懐かしい歌をリサーチして練習していきます。結局母もこの本ほしい!と言われて買ってあげました(笑)
生徒さんにいつも「ご自分のペースで大丈夫ですからね」と言います。
季節によって体調の波もあるでしょうし、家庭の予定、子育て、お子さんの行事など、とおうちの仕事をいつも背負っていらっしゃいます。
その中でピアノを弾く時間だけはその生徒さんだけの大切な時間です。
頑張れるときは頑張っていただきたいですが、教室運営と同じように、生徒さんにとって「長く楽しくピアノを弾く時間」としてライフワークにしていただけたらうれしいなと思うので、無理はなさらないでくださいね、と一声かけます。
ご高齢の生徒さんは、止まらないで弾くということが難しい方もいらっしゃいます。次への音の準備に時間がかかってしまったり、拍子のとり方がだんだん拍の後ろにきてしまったり。
そういう時って、インテンポで弾いてもらいたい曲でも、ちょっとくらい止まったっていいか、と思うのですが、でも止まっちゃうとご本人が弾けた!と実感しませんよね。
止まらないで弾けるテンポまで落として、ゆっくりでも一定のテンポの中で弾けている感触を得てもらえるような指導をしています。
割とすいすいと弾ける生徒さんに対しては、それほど悩むことがないように思うのですが、注意しないといけないこともあります。
前は、この生徒さんはけっこう弾ける方だ、と思うとついつい力が入ってけっこうなレベルまで求めてしまうことがありました。レッスンが終わって、生徒さんが帰られた後、あーちょっと頑張らせすぎちゃったかなーと思うことも(汗
でも、もっとやれそうな生徒さんなのよねー、とその狭間で悩んだりもしました。
ある時、別の生徒さんにそれをやってしまったようで苦痛を感じさせてしまいました。この時は、頑張らせすぎたかなーというような自覚もなく私にはまったくそんなつもりはなかったので、がーん。ときました。まだ若い方でしたから。
前なら、いやいやでもこれは!!とそのテクニックを身につける正当性を説明して、あなたはそれができる人です、とモチベーションを上手に引き出して、引き続き弾いてもらっていたでしょう。
でも、思いました。
おつきあいが長いということは、生徒さんも年々歳を重ねてきているんだと。私は、仕事にしているからまだぜんぜん弾けるけれどもこの方にとっては、この時はそうじゃなかったんだろうな、と。
私から見て、十分に伸びると見込んでいても生徒さんのメンタルとフィジカルが一致していない状態で無理に弾いても、あっという間に苦痛に変わりますよね。ですから、私はその生徒さんのお気持ちを受け入れて、新しい曲に進むことにしました。
内心傷つきながら(笑)
この経験から、大人の生徒さんだからって簡単なレベルで止めていいかというのは違いますが、時には、そこそこのレベルをすらすらーとストレスなく弾ける経験も実は心地よいのではなかろうかと思いました。
つい既成のピアノのテキスト順に、1が終わったら2、2が終わったら3冊目に、と進めたくなりますがある程度身についたレベル付近で弾ける曲はたくさんあるんですよね。生徒さんのメンタルとか、コンディションとかを伺いながらレッスンを進めるようになりました^^
ちなみにその生徒さんに、そこそこのレベルの曲を数曲レッスンしたのち、本来のレベルの難しい曲を渡しました。そしたら、
「かえって前より弾けるようになった気がします、やっぱり、先生のおっしゃるようにテクニックを身につけるのは大事なんですね」
と言ってくださって、すごく嬉しかったです^^
私たちは日々、子供達を相手にレッスンしていることの方が多いので、テキストを進ませることに重きを置いてしまいます。
でも、大人の生徒さんは、「あの憧れの曲を弾けたらどんなに素敵だろう」って思うんですよね。
ピアノの先生や、弾ける生徒さんは、楽譜があればその場である程度曲になりますが、大人の生徒さんは必ずしもそうとは限りません。
まずは譜面を追って弾くのが精一杯で、教えているこちらもついある程度弾けたら、次の曲へ進ませようとしてしまいます。
時々、これまで弾いた曲の中で、好きだった曲、得意だった曲だけを「生徒さんのレパートリー」としてすでに習った曲の「あんぷ」をする、ということにチャレンジしてもらうのもいいと思います。
先ほども書きました、大人の生徒さんにとってピアノを弾く時間というのは特別で大切な時間です。その時間、気持ちよく、苦にならない好きな曲を弾いてもらうために、レパートリーを持ってもらうのも、生徒さんのモチベーションになるのではないかと思います。
子供の生徒さんも、ずっと前に弾いた曲や、発表会で弾いた曲を今でも弾いたりしてますよね。ああいう感じで常に弾ける曲を持っていただけたら素敵だなぁと思うのです。