さて、オンラインレッスンにはいったいどういうものがあるかというと、いつものごとく自分の経験値からしか書けませんが(汗)箇条書きにします。
- 演奏を動画を送ってもらい、それにアドバイスするレッスン
- Zoom、LINEアプリによるビデオ通話レッスン
- 演奏動画に対して、レッスン動画を作って配信するレッスン
2つめの「Zoom、LINEあぷりによるビデオ通話レッスン」が一番一般的だと思いますし、このスタイルを構築するのが一番良いと思います。
ただ、「いきなりオンラインレッスンしますと言われてもどうしたらいいかわかない」という生徒さんもいらっしゃるようなのです。私は、そういう懸念を最初から回避したかったので、↑の順番でやってみました。
「オンラインレッスン」という言葉自体は、コロナ以前から耳にしていたので、いよいよ取り入れる時がやってきたという印象でしたが、生徒さん側にとっては、ちょっとハードルが高いのではないかと不安でした。
一斉休校になってしまい、できればレッスンは教室に通って受けたい、という生徒さんへどうしたらオンラインレッスンを受け入れてもらえるか。
しかも誰しも感染の不安や、仕事や学校のこれからなど問題が山積みだった3月4月に、そんなことをやっていていい状況なんだろうかと自信がない中、
「来週から、オンラインレッスンにしましょう♪」
と簡単には言えない心境でした。
この時期、初めてオンラインレッスンに移行した先生は、かなり短期間でレッスン方法を構築したはずです。その行動力に当時の私は「まじか」と思いながら、なんならやりたくないなーくらい消極的でした( ´△`)そんな弱気な私の背中を押してくれたのは、生徒さんでした。
生徒さんがおうちで演奏したものを撮影して動画で送ってくれて!(休講するにあたって郵送でお便りに宿題を書いて演奏動画送ってねとメッセージを書きました)、動画の中で一生懸命弾いている姿に心を打たれ、「なんとかできるかもしれない」と思ったのです。
1つずつ解説しますね。
生徒さんの演奏動画へのアドバイスレッスン
いつものレッスンの曜日に、宿題の曲を演奏したものを動画に撮ってもらってLINEで送ってもらい、それに私がアドバイスするというスタイル
当初、アドバイス方法は「文章」でのアドバイスを想定していました。元生徒さんが「弾いてみた」系のノリでついでに送ってくれた動画に(ついでってなんだ・笑)、私が余計なお世話でアドバイスの長文LINEを送ったんです。
そうしましたら、
「見抜かれている。自分でも気にしていたことを先生がズバッと書いてくれた」
というような返信がきました。お母さんも大変喜んでいただきまして、私も手応えを感じました。
これに先生がお手本演奏の動画を撮影して返信したらレッスンとして成り立ちます。
でも、これは生徒さんが小さいと親御さんが私の代わりになって伝えていただくという側面が大きいので、年齢を選ぶ方法ではあります。
Zoom、LINEアプリによるオンライン通話によるレッスン
たぶん世のピアノの先生がたが行っているであろう、
生徒さんとアプリを通じてビデオ通話でお互いを見ながらレッスンを行うスタイル
先生がそばにいるかいないかの違いは大きいことからまず私が懸念したのは、
「リモートでいつものレッスンをして、レッスン効果を得られるのかな?」
「同じお月謝をいただけるクオリティになるものなんだろうか?」
ということでした。
オンラインだと、画面越しで「さんはい!」と同時に弾こうとしてもタイムラグが発生します。演奏の途中でとめたくても、タイミングもずれる。
zoomの導入も緊急事態宣言当初、セキュリティの問題があるとコロナ以前から目にしていたので、即使おう!とは思えず、正直積極的ではありませんでした。
ただ、オンラインレッスンのメリットとして、
「先生がそばにいないために先生から指摘を受けた部分を自分で探して書き込むという作業が求められるので、生徒さんの「能動的な姿勢」が養われるなー
と思いました。
ちょっとデメリット感強めな書き方になりましたが、この時点ではこんな感じですがあとでちょっと変わってきます。
演奏動画に対して、レッスン動画を作って配信するレッスン
実は、私が休講からずっとやってきたのはこの「動画レッスン」です。
はっきりいって生徒さんにとってはこの上ない贅沢なスタイルだと思います。
生徒さんの演奏動画に対するアドバイスを、私が動画で解説して編集してYouTubeにアップロードして、それぞれの生徒さんへの限定公開動画としてみてもらうスタイル
という手をかけたものだからです。慣れるまで時間がかかります。私は慣れないうちは朝までかかってやっていました。ずっと動画を撮影していたのである意味「おうち時間」でした(笑)
ですが、レッスン効率はこれが一番いいです。
対面レッスンも、リアルタムのオンラインレッスンも、わざわざ録画でもしていないかぎり、そのとき限りのレッスンです。伝えたことの証は、楽譜への書き込みと生徒さんの記憶に委ねるしかありませんよね。
動画レッスンは、残ります。後から何度も見直せて、自分の演奏動画も残しておくことで生徒さん自身も「振り返り」ができます。
デメリットというか、先生の負担が大きいことをリスクとすれば、この方法は
ハイリスクハイリターン
とでもいいましょうか(笑
デメリットは、本来は30分で終われるレッスンを、その何倍も時間がかかるので、先生の負担が大きいこと、先生側で新たなスキルをある程度身につける必要があるということと、そのために機材を揃えるための投資が必要です。
メリットは、なんといっても翌週の生徒さんの上達の速さです。伝えたものが100%残るので、課題にクローズアップして練習できるようです。
そして、動画を送るために何テイクも撮って一番良き動画を送ってくれていたみたいなので(笑)、自ずと練習量も増えるのでいいみたいです。そういうわけで、もう一度言いますが、レッスン効率が一番いいです。
ここまで提供できれば、「会わずしてレッスンする」という引け目のようなものがなく、別のアプローチでのレッスンということで、いつもどおりにお月謝をいただけると感じることができました。
さて、さきほどリアルタイムでのオンラインレッスンは、「うーん」という反応の私でしたが、ここまですべてやったときに考え直しました。
一番大変な作業の動画レッスンをやれたんだから、このノウハウを使ってリアルタイムのオンラインレッスンはもっと簡単に工夫ができる自信がある。生徒さんも撮影になれてきて、リアルタイムでやりとりする照れもなく、オンラインレッスンへのハードルも下がったはず。さらに、動画レッスンと組み合わせればすごくいいんじゃないか?
ということです。
組み合わせることで先生の負担も減らせるし、リアルタイムで生徒さんの演奏にアドバイスもできるし、コミュニケーションもとれます。そして動画レッスンでは気合を入れて最高の演奏を撮影してもらうという緊張感も加わるし、すごくいいのではないかと感じました。
…ここまで読んでくださった先生の中に、私もやってみたい!という方は果たしていらっしゃるのだろうか(汗)
現代ではオンラインレッスンを取り入れるべき
こんなふうにある意味、作業効率が良くないレッスンをしてきたわけですが、後から生徒さんからこういう言葉をたくさんいただきました。
- 「30分で終わるところを、たくさん時間をかけていただいて本当に感謝しています。さっそく見せて来週までしっかり練習させます」
-
「この期間に、先生お一人でここまで新しいことを取り組まれて形にされたことに、ただただ尊敬です。子供も撮影されることが楽しいみたいです」
- 「ふだん先生とこんなふうにレッスンしているんだなーというのが知ることができてよかったです」
-
「YouTubeから先生が子供の名前を語りかけてくれるのが嬉しいようで、テレビ画面で家族で見ています」
- 「対面レッスンの方がいいと言っていましたが、やってみると動画がとってもわかりやすくて(解除後も)まだしばらく動画レッスンでもいいかもと言っています(笑)」
-
「対面レッスンと変わらない内容でご指導してくださって感謝しています」
-
「先生の動画は絶品です。先生はファイターです」
もう、何よりの言葉でした(涙)
今回コロナという未知のウィルスのパンデミックでオンラインレッスンをすることになったわけですが、忘れてはいけないのは
おうちの方のご協力に大きく依存したスタイル
であるということです。おうちの方のサポートなしにはできません。
それがあるから私は一生懸命何時間かかろうとも動画作りを毎日頑張りました。必要なら、動画の補足で手作り教材を作って郵送し、お母様に使い方をお伝えし、練習の仕方のご協力をしていただきました。
対面レッスンじゃないからこそ、レッスンへのフォローアップもした上で、満足度の高いオンラインレッスンの構築をすることが大前提にあるから、オンラインレッスンへのご理解を得られるものだと感じています。
この先生からのレッスンにかける熱い思いがないと、良いレッスンスタイルなど生まれません。
会えないから遠隔でレッスンしょう、という物理的な部分のみで思ってはいけない。
私は、教材や動画の素材を作りながら、
「今後、ずーっと子供たちはこういう方法でしかピアノが習えない世の中になってしまうんだとしたら…。どうやって伝えていけばいいんだろう」
というところまで私は行き着きました。私たちの子供時代はなんて幸せだったんだろうと思いました。先生から直接レッスンが受けられたんですもんね。
そしてくじけそうになったときは
「この経験がこれからの私の人生の財産になると信じよう」
と言い聞かせて(笑)乗り切りました。
私の性格上、何回か試運転していける!と思わないうちはやらないタイプなので、最初の数週間はお試し期間として実施してから(この間もちろん無料です。辛かったです)、本レッスンへ向けて構築していきました。
ちなみに、私の毎日朝方までかかってやっている動画撮影や編集の作業を見ていた主人は、私の作品(生徒へのYouTube動画)を見て、
「これ、月謝を1万円にしてもいいと思うよ」
と真顔で言いました。
でも、
「なに、そうなのか。私がやっていることははたから見たらそんなにすごいことをやってたのか」
とは思いました。やってる本人は気づかないんですよね。夢中でやってるから。
簡単な動画編集はできておいた方がいいスキル
動画レッスンをしていく中で、せっかくこんな手の込んだことをやっているのだから、普段のレッスンにも生かしたいと思いました。
- 新しく覚えることの説明に、楽譜に書き込んだりして説明していたことを、アニメーションで作ってそれを教材にしておけば、話で説明するよりも理解しやすい
- 体験レッスン用の動画を作っておけば、オンラインで体験レッスンするときにより理解しやすいのではないか
- 誰しも身につけておきたいテクニックや、理論を、テーマごとに動画で作って生徒さん全員にシェアして、自主練習に役立ててもらえる
今は、スマホやタブレットなどでも簡単に動画編集できるようになりました。私もつい2ヶ月前までは触ったこともないアプリでしたが、覚えられました。
そして今は、keynote(Appleの標準アプリ。MicrosoftでいうところのPowerPoint)でプレゼンするときに作るようなアニメーションを、レッスン用の教材アニメーションとして作れるんじゃないかとアニメーションに興味がいっております(笑
オンラインに限らず、レッスンを補完してれくれるツールとして動画を作ったり、編集したりというスキルは無駄にならないんじゃないかと思います。
そしてですよ、私なんか単純ですからこんな微々たるスキルを誇らしく思っていまして、「もしや音楽系YouTuberとかいけそう?」などと甘いことを考えております(笑)
内心無理だとは思いつつも、鍵盤系のYouTuberの動画の見方が変わりました。どうやって撮影してるんだろう?とかそっちの方(笑)ちょっとでもかじれば新たな世界のドアも見えてくる、というお話しです。
久々に長い記事になってしまいましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました!
「動画レッスン」に興味を持たれた方はコメント、メールなどお待ちしています。反響が大きければメルマガなどででシェアしたいなとちょっと考えております。