入会される生徒さんもいれば、退会される生徒さんもいます。
ピアノレッスンの継続をピアノの先生は強制できないしこればっかりは流動的なので、このあたりがこの仕事の不安定な理由でもあります。
それぞれのご事情はありますが、退会されるのはとても悲しいです。私も落ち込むことも1回2回ではなかったです。
退会のお申し出があった時
心を立て直すためにしたいこと
ピアノの先生は、生徒さんがやめてしまうときは心で血を流す思いをすることがあります。可愛がっていた生徒がやめてしまうんですから、お別れは辛いですね。退会することが決まった時、
私はこの生徒に精一杯教えることができたかな?
私のところでピアノを弾いて、楽しむことを少しでも知ってもらえたかな?
と毎回立ち止まって考えます。
そういうときに遭遇した時、どういうメンタルでいればいいか。これも先生として必要な心構えかなと思います。しかたない、次があるさ、とささっと切り替えることも大事だし、落ち込むことも大事だと思います。
今の私は、私の力が足らなかった、と反省はすることはあっても後悔はしないようにしています。
もっとできることがあったかもしれない、なんて自分を責め始めると答えなんてでないんです。それを自分なりに消化して、今度出会う生徒さんへ生かそうと思うことにしています。
これが、私が20年やってきて思い至ったメンタルの保ち方でしょうか。
マンツーマンで教えるスタイルな以上、なんの感情も抱かないわけがありません。だから、こういう痛みも当然あると思って先生はレッスンしましょう。そして気づかせてくれたことに感謝するようにしています。
むやみに引き止めることはしない
私は、基本的に闇雲に引き止める、ということはしません。
昔はしていました。「ここでやめたらもったいない、あなたはまだやれる。もっと伸びるのに。ここであきらめちゃだめ」みたいな感じで熱く語っていました(笑)
その時は、生徒も一瞬、そっかぁもう少し続けてみるかなって思うんだけど、中にはやっぱりモチベーションが再浮上しない子も少なくありませんでした。親御さんがまだ続けてほしいと思っているときでも、ダメな時はダメなんですよね。モチベーションが再浮上しない生徒へのレッスンは非常に辛いです。こちらは引き止めた手前必死に楽しんでもらおうとしますが、なんか違う。
ピアノのレッスンは、結局弾くのが好きかどうか、もっと弾きたい、うまくなりたい、と生徒が思うから成り立つものなんじゃないか、と考えるようになりました。それを生徒にピアノを好きにさせようとしていた私の奢りだったのかもしれないと気づきました。
また、すごく上手ですごく目をかけてきた生徒さんが、本人的に人生のある時点で突然、ピアノと線を引く時があります。それが思っていたより早かった時、かなりこたえます。私はなんのために教えてきたんだとがっかりすることもあります。
結局決めるのは本人。自分の中でピアノが今重要でなくなった時、先生は何も強要する権利なんてないのです。あくまでの「自分の意思で習う」ということを尊重することで、先生の落胆は減ると思います。
ですから、私はめったに引き止めることはしません。もちろん、寂しいな、もっといっぱい弾いて欲しかったな、とは言います。そしてこう思うようにしています。
「新しい出会いのための試練だ」と。
感謝の言葉を励みにして
この前、物理的なご事情で退会する生徒さんがいました。やっぱりすごく悲しかったです。
でも、お母様から
『先生には感謝してもし足りないです。先生だからここまで続けてこれました』
と言っていただき、胸にぐっとこ込み上げるものがありました。
お母様たちから私はどう思われているかなんて、言われない限りわかりません。
いつもレッスン時に軽くご挨拶はするお母様でしたが、まさかそんな風に思って下さっているなんてと、すごく救われました。私も、どれだけその子がピアノを頑張って、そして私も大事に思っていた生徒さんだったか一生懸命伝えました。その生徒さんはピアノもとても上手で10年以上も通って下さった生徒さんでした。
家族に伝えたら
「その言葉が何よりの言葉でしょ。感謝していただくようなレッスンをしたっていうことだよ」
と言われました。退会される生徒さんから、成長させていただくこともとても大きいのです。